おはなし新商品開発2007/08/22 23:59

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/454290279X.html
圓川隆夫・入倉則夫・鷲谷和彦 共編著 おはなし新商品開発―事例で分かるCRTや新商品開発スコアカードの威力! 日本規格協会 2007年 を読んだ。先日、NHKのテレビ番組「ビジネス未来人」を見た。「名古屋ベンチャー 指紋認証に挑む」は大学の研究成果を丹念に掘り起こして商品につなげるといった内容だった。企業は一つヒット商品が出ても安閑とはしていられない。企業が存続していくには常に強い商品開発力が求められる。この本はタイトルが示すように具体的な「おはなし」を進めて新商品開発にまつわる様々なツールを紹介している。一見難しそうな概念をわかりやすいストーリ展開で読ませる工夫がちりばめられている。

第一部はタイトルにもあるように経営革新の中核問題についてCRTというツールの威力を説いている。CRTとは聞き慣れない用語だがカレント・リアリティ・ツリーの略、日本語でいうと現状問題構造ツリーという。一般論としてそれぞれの職場で問題点を抽出し、それを改善しようと日々邁進しているはずだ。ところがそれは表面的な問題点に過ぎない可能性があるという。CRTにより表面化している問題点を掘り下げることで根底に根付いている問題点を解決する、ある種の思考プロセスである。これがうまく機能するためにはステートメントの発想と関連付けが大切である。ありがたいことに専門家の手を借りずにCRTを実践できる補助ツールとしてカルタが付録にある。

第二部では新商品開発を進めるヒントとしてスコアカードの活用を提唱している。開発に関連する体制に対する自己採点のようなもので等身大の自分を知ることができる。そうして様々なツールが横文字でわんさかと登場する。それらは本編とは別にコラムに整理されている。考え方としては新しいし、今後の企業の目指すゴールに対して有益な指標を与えてくれる一冊といえる。